新生児糖尿病日誌

新生児糖尿病(+ ダウン症)の育児記録です。

検査・診断・治療については、必ず医師に相談してください。

SAP療法って?

なんやかんやと100日を過ぎてまぁ、体重も4000gを越えてきた。保育器から出てベビーベッドでころころしています。

退院するには?

当初、退院条件とされたのは

  • 一定以上の体重がある(2500g~ とかだったかな)

  • 経口哺乳が可能

  • 呼吸が安定している

現状これは満たしているのですが、スッと出られないのが新生児糖尿病の難しいところでしょうか。機器を使ってインスリンを入れているので、家族がその操作・処置を行えないと 退院はできません。そりゃそうだ。

具体的には、以下のような機器を駆使して在宅医療ができるようにならなければいけません!

CSII / インスリンポンプ

CSII(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion / 持続皮下インスリン投与)という治療のため、インスリンポンプという機器を装着します。

CSII/インスリンポンプ

この機器にインスリンが入っています。これを皮下に入れたカニューレというほっそい菅と接続し、インスリンの持続投与を行います。つまり、従来の治療で必要だった 血糖測定 → 自己注射 を1日に何度もやらなくてOK! という寸法ですね。

CGM

Continuous Glucose Monitoring(持続血糖測定)というのも行います。これは皮下組織にセンサー(エンライトセンサ)を挿入し、血糖値と近い動きをする体液を計測。血糖値を測定・予測します。

CGM

今回の機種だと、測定データは無線でインスリンポンプに転送されます。

SAP療法

インスリンポンプ(CSII)とCGMを組み合わせてリアルタイムに同期、インスリン注入を自動制御してくれるのが、SAP療法となるようです。指定された血糖値前後をキープできるよう、投与が制御されます。

インスリン注入を停止してくれるのが画期的! らしい

一定の血糖値まで下がると(予測されると)、インスリンの注入が止まります。この機能によって、低血糖になる可能性がグッと減るわけです。主治医先生やメーカーの方も言っておりましたが、これはなかなか画期的なことらしい。

割と最近の医療機器?

メーカーの方にサラっと伺った感じ、SAP療法が実際の患者に提供されるようになったのは2~3年くらい前だそうです。利用者も北海道内では数百人とのことで、これはまぁ…ある意味で、良きタイミングだったのかもしれません…。この機械がなければ、素人には手に負えない感じがする。

機器と療法の変遷については…

コレわかりやすかった。「日本内科学会雑誌」とあるので、確実そう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_586/_pdf

次男が適用しているのは文中の MiniMed 640G で、確かにSAP対応してるようです。やっぱ画期的なんだな。流れ的に、むっちゃ苦労してきた(そして理解されにくかったであろう)人たちも相当にいたんだろうな…と、少し辛くなる感じ。

あ、次期バージョンである 670G も国内で安定して使えるようになるといいですね。

退院? 日々の作業はなにがある?

んじゃ、具体的に家族はおうちで何をすればいいのでしょうか。

血糖値の実測

1日に3回 必要になります。

前述したとおり、CGMは実際の血液から計測していません。実際の血糖値とズレがある可能性があるので、血液からの実測値を計測して インスリンポンプ に入力します。これには、別の穿刺器具と測定機を用います。

全然血が出ないから、初回は割と難しかった…何度も刺してすまん…。(嫁さまが自分で自分を刺した感じでは、ほぼ痛みはないらしいです)

タイミングは?

インスリンポンプが「そろそろ入力しろ―」とお知らせしてくれますので、従いましょう。便利ですね。

乳児はどこに刺す?

踵の当たりを刺します。

インスリンポンプのチューブ交換・インスリン補充

2日に1回 必要になります。
(2022年追記:1歳ちょいくらいで 3日に1回 になってます。イレギュラーは年数回くらいはあります)

手順はいろいろありますが、大したことはないですかね。コンビニのバイトの方が覚えることは多いくらい。

針が二重になってます。このなかにカニューレという管が入っています。インスリンポンプとつながる重要部品です。血糖測定と違ってガチで刺すので、そこが心理的に難しいところでしょうか…。
(2022年追記:自分が入院して看護婦さんと雑談した感じ、この医行為は点滴の「サーフロー(デキスタ的言い回し)」に近い感じする。針刺して抜いて、留置)

CGMのエンライトセンサ交換

6日に1回 必要になります。

これのコイツですね。

なんかすごい

この針も二重構造のようになっていて、中にはセンサーが入っています。なので、点滴のように針が刺さりっぱなしになるワケではないので大丈夫。皮膚からは外側の針だけがうまいこと抜けて、針内部のセンサーだけが残る、という仕組みです。センサーは、細くてペラペラ、うっすいフレキシブルケーブルみたいな感じでした。

これは本来、手で刺さないが…

新生児のため横腹周りに刺せない上、エンライトサータという穿刺支援の器具が使えません。現状は主治医先生が手で刺していますが、これがなかなか難しいらしい。できんのかなぁ…。エンライトサータを使う方向で考えてるそうですが…はてさて。

何はともあれ、刺すことにはなる

医師や看護師でもなければ、刺すのは抵抗ありますよね…。しかも自分の子ですからね。
でも変な話、新生児糖尿病の息子は注射や点滴が多いので、なんだか慣れてるようです。そういう意味では、気負わずに刺そう! って感じかもしれません。

余談

いろいろな機器があるようです。

https://note.com/gao67852257/n/nd6b7e611e1ca

パッチ式のメディセーフウィズとかいいなぁ。テルモだし。

https://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/470034/22900BZX00374000_B_01_02/

うっ、100単位のみじゃ次男には使えないか…。

研究開発はもちろん、認可? 試験? 保険? とか難しいことがたくさんあると思いますが、糖尿病の方が安心して生活できる機器が増えるといいですね。

(私はITですが)同じエンジニアとして、陰ながら応援しております。