糖尿病患者さんは、「センサーが低血糖を予測している」「運動など低血糖になりそうな行動が予測される」などの状況の時、何らかの形で糖分を摂取して低血糖を予防することがあります。
糖尿病の学生が学校にビスケットや飴などを持ち込み、問題視されて揉めてしまう事例を聞いたことがあるかもしれません。アレはおやつとはちょっと違って、補食 とか言ったりします。なかなか理解が難しい状況もある。一方で「プライベートなので」と投薬・疾患・障害を伝えない考えの方もいたりするようで、まぁその、どうしようね。加減がややこしい…。
話が逸れたな。今回は新生児糖尿病とダウン症と補食の話です。
我が家の補食はミルクに頼っていた
我が家の捕食、アイクレオ。
なぜかというと、ダウン症患者でもあるので「まだ堅いものが食べられない」からです。今は3歳ですが、離乳食中期くらいを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。特に固形物がかなり厳しい状況です。
水分補給としても利用していた
まだコップから水を飲むのが難しいので、哺乳瓶でミルクを飲ませることで水分補給も兼ねていました。
いつまでもミルクに頼っているわけにも…
食育だったり咀嚼能力の獲得だったりいろいろで、いつまでもミルクというわけにはいきません。つうかアイクレオ、高いですしね…ドラッグストアによっては置いてなかったりするし。また、ミルク以外の栄養摂取も進めて行く必要がある(バランスいいので頼りがちになるんです)。
どのみち、今後の進学や社会進出も考えればミルクは使えなくなっていくのは明白。
そこで、やめる決断をするわけです。
ダウン症3歳、特殊な状況下での補食
じゃぁボーロでもラムネでも食ってればいいじゃん? 1歳未満のお菓子もあるだろ? となるのですが、そうはいかない。新生児糖尿病(現状の療養は1型と同様)だけではなく、ダウン症もあるからです。
ダウン症としての特徴
ダウン症児だから「堅いものが食えない」と先ほど書きましたが、このような特徴があったりします。
■ Down症候群の子どもの咀嚼機能の獲得を目指すには https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsdh/42/1/42_1/_pdf/-char/ja
文献中の調査によると、ほぼ成長が確立している17~32歳のダウン症患者ですら、ニンジンやリンゴなどの堅いものを拒否する傾向があったりするほどです。これには結構驚きました。筋緊張の弱さ、顎や舌など口腔内の形成の違いだけではなく、口腔内の感覚異常も考えられるのではないか…ということだそうです。
…いやー、いつものことですけど調べれば調べるほどコレ。育児・療養・療育の難易度ガンガン上がっていきますねぇー!!
知的障害の問題か? 新生児糖尿病の問題か?
まず困るのは、ともかく低血糖時の主訴が全くないことです。
まだ喋れないし、中等度知能障害だから仕方がないでしょ? ってのもあるんです。んでもそれ以前に、そもそも身体や精神の症状にもでてこないんですよね。SMBGで60mg/dL未満になったとしても、全くわからない。どれくらいわからないかというと、NICUの看護師さんやお医者さんでも判然としないレベル。素人にはどうしようもねぇ。
…ひょっとすると、生まれてからずーっとインスリン依存という、新生児糖尿病特有の問題なのでしょうか? 当人としては低血糖も高血糖も「これが普通でしょ?」ってなってる可能性ありますよね。しかも知的障害があるから理解も困難か…ともかく ダウン症 + 新生児糖尿病 は出生確率的にも記録された事例がないと思われるので、なんとも言えない。SMBGとガーディアンセンサーに頼るしかないですね。
よくありそうけど、幼いダウン症患者なので難しい食べ物
低血糖の補食は何があるでしょうか?
ラムネ・飴・チョコレート
すぐに血糖値を上げたい低血糖時に用いられますね。でもこれ、まず丸呑みするし、誤嚥や窒息の可能性が非常に高いのでダメです。飴やチョコは虫歯も気になる…
ビスケット・パン・おにぎり
運動前など、低血糖が予想されるときに先に食べておくと良いものです。比較的穏やかに、長い時間血糖値を上げてくれます。でも固形物は食えないのでダメです。
甘い飲み物
嫁さんがたまたまいないとき、基礎注入停止状態になったことがありました。どうせすぐ帰ってくるし、何かダリーなと思ってカルピスをレンゲで飲ませたことがあります。
炭水化物もボチボチあるし大丈夫だろと計測して飲ませたのですが、急激に上昇はするけどすぐに下がってしまう。体質や状況にもよるとは思うのですが、かなりアンコントローラブルな感じがしました。でもこれ、状況によってはすごい便利!
ゼリーやプリン
これも窒息可能性があるので怖いですね。潰して食わせればいいんですけど 甘すぎる、おいしすぎる問題 があるんですよね…まだ離乳食中期段階なので薄味でなければなりません(他のモンを食わなくなるので)。つか健常な3歳でも、毎日バクバク食うもんじゃないわ…。
アラームが鳴ったらプリンが食べられる!! みたいな「パブロフの犬」になっちまっても困る。この辺は知的障害の兼ね合いも気になりますね…。
じゃぁどうすんだよ
さぁ、あらゆる選択肢が叩き潰されました。でもミルクには戻りたくない。
んでまぁ、結果としては 「炭水化物を粉砕する」+ 「水分は麦茶」 という方向で打破しています。
家ではオールブラン・ブランフレーク
ビスケットなどを砕いて食べさせてもいいのですが まだ体質が安定してない新生児糖尿病だと、市販のお菓子を常用するとかなり高額なんですよね。そして何度も言いますが、美味しすぎる…。まだ発達段階的には早い気がしていて。
ってことで、コイツを適度に粉砕して水やヨーグルトでふやかして補食として食べさせる。
食物繊維や鉄分も摂取できるし、なにより 甘過ぎないのがいい。
糖質も7.3g/10gで、扱いも悪くない。
(これ、もともと自分が会社でのおやつとして食べていました。これに柿の種を混ぜると、ブランのほんのりした甘さが柿ピーの塩味とマッチ。お互いの食感と香ばしさもすごく合います! 食物繊維が補えるのもいい…。)
療育先では、職員さんの負担になりにくそうなモノを…
家だけではなく、療育先でも補食は必要(冒頭の学校の話と同じですね)。今までが粉ミルクだったのに、いきなり計量が必要なオールブランを渡されても療育困りますよね…。
ってことで、整肢園へ通所するときはこのへんを持たせます。
施設側で砕いてもらう必要はあるのですが…パックや本数単位で扱えるし、糖質も計算がしやすい。きっちりパッキングされて賞味期限も書いてあるし、衛生管理的にも安心です。
ミルク脱却 → 水分と糖質の分割の成果
結果、かなり良くなりました。
いやまぁ、我が家的にはすごいんですわ。ミルク止めたら、血糖値が一気に安定した。つかTIRマジ爆上げ!
やむを得ないとはいえ、水分としてミルク飲ませてたのは血糖値的には良くない状況だったのかもしれません。
ただ、変更する前に専門医に相談した方がいいでしょう。ミルクをやめると夜間の低血糖が多発する可能性が高いです。実際、TBRが観測されるケースがかなり増えましたし、主治医先生にもベーサルを調整してもらっています。
麦茶も美味しいよ
乳幼児用の麦茶も売っていますが、いかんせん高額ですよね…。みなさんは大体自作されているでしょう。
で。ちょっと煮出す手間をかけられるなら、これがとてもおいしいです。
今は余力がないのでやってませんが、真空断熱の保温ポットなどを使えば割と手軽に煮出せます。
家族全員で楽しめるし、焼酎で割ってもウマいです。是非。